パーフェクトな日

パーフェクトな日

2024年01月22日(月)

  • 朝の魅力

朝が大好きだ。それがたとえ真っ暗な夜明け前でもたまらなく好きだ。「これから始まる」わくわく感が半端ない。きりっとした冷たい空気も清々しく気持ちがいい。熱々のコーヒー。思わずびりっとくる熱いお風呂。これから始まる丸々ある一日。日めくりカレンダーのように前日をビリビリと破り、新しい面が出てくる新鮮さ、新しさ、新品な感じ。下世話な言い方だけど使われていないピン札の一万円札を手にしている感覚。

ウィムベンダーギャスト監督。役所広司主演「パーフェクトデイズ」の初頭のシーンはそんな朝を描いている。近くのお寺の坊さんが道路を掃いている竹箒のザッザッという音で目が覚める。布団の畳み方、歯磨き、つなぎ(作業服)を着て玄関先に並べてある鍵やフィルムカメラ、小銭をポケットに押し込み、玄関を開けて、空を見上げてほほ笑む。アパート前の販売機で缶コーヒーを買う。車に乗り、公共トイレ掃除の仕事を始める。そんな毎日を何回も見せる。同じこと、ルーティン。何事もない平凡な毎日。それを監督は描きたかったのだろう。そしてその中に豊かな幸せがあるということ。朝の気持ちよさ。大切にしているだろうか?何気ない日常に役所広司のように微笑むことが出来るだろうか?

「ハッピーストレス」(青砥瑞人 SBCクリエイティブ)「日常のささやかなポジティブを脳に刻み込む」

  • 自然とは、動植物、人、風景のことです
  • 旅行などの大きな環境変化のもとではなく日常生活で行ってみてください
  • 大きく心が揺れ動くようなポジティブな感情ではなく、ささやかな反応に注意を向けましょう
  • 「間」を持ちましょう。その瞬間の心地よさを感じている自分に意識を向け、その状態に気づくことが大切です
  • ポジティブな感覚を、少し目を閉じて、すぐに脳で追体験します。

 ストレスを悪いものとだけ考えるのではなく、成長のための道具だと考える作者の丁寧な本だ。触発される。

 自分はこれから何をしたいのだろう。そんな時に本は指針になる。また、年上の先輩方の生き方がお手本になる。

 退職から8年。退職のショックは再任用とか非常勤で緩和されている。しかし、このままずっとはいかないだろう。じゃあ何をしていくのか?

 自分の行為を誰かにわかってもらいたい、知ってほしい、ほめてほしい、凄いと言ってもらいたい。これは決して良いこととは言えない。他人の評価に頼った態度だ。それがSNS。人間は群れで生きているから「わかってほしい」はある。しかしそれが過度になってしまうと、きりがなくなる。

 何かを追い求めていくと、目の前の豊かさを忘れてしまう。「青い鳥」の話のように結局は幸せは足元にあったということ。現代はSNSの承認欲求と、モノ・カネに走っている。目に見えないもの、またはみようとしない世界にこそ豊かなものが溢れているのだろう。それに気づかないのか、気づかれないように操作されているのか。ぼくのパーフェクトデイ。